ファン・ゴッホ 『種まく人』

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力あふれる太陽の筆使いに心を奪われてしまった。沈む最後の最後まで、こんなに輝き続ける太陽とは、本当に偉大である。
そんなことを感じさせる作品が、ファン・ゴッホの『種まく人』だ。
彼はミレーの描く農夫の絵、特に『種まく人』に感銘し、数多くの『種まく人』を描いた。
彼がこのテーマに心を惹かれたことは、彼の家庭環境の影響が大きいと想像できる。
ファン・ゴッホは牧師の家庭に育ち、自らも伝道師を志し、アムステルダムでは神学の道に進むための勉強もしていたのである。
結局、伝道師の道は諦めることになり、宗教から遠ざかってしまった。しかし、幼少から培った、旧約聖書の詩編「涙をもって種まく人は喜びとともに刈り取らん」という言葉や、新約聖書の「種まく人」の話は心の中に刻まれていたに違いない。
彼の『種まく人』には、単純に「種をまく」意外に、もっと人間の精神的な意味も込められているいるのではないだろうか・・・。

ファン・ゴッホの描いた『種まく人』の中でも、単純でありながら、ひときわドラマティックで、タブローでもあるのがこの作品だ。1888年にアルルで描かれた。
特長は何といっても、太陽のあふれる輝きと、斜めに横切る太い樹木の存在だ。太陽の沈む最後の最後まで、その光を頼りにして、農夫は黙々と種をまいている。農夫にとって、太陽とは、なくてはならない存在なのだ。
平坦かつ大胆…、特に樹木は、あきらかに日本の浮世絵の影響だろう。前年のパリ時代に描かれた『日本趣味 花咲く梅の木(広重による)』を思い出してしまう。
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さらにその後、大きなサイズの『種まく人』を描いている。

昨年の5月に、ファン・ゴッホ美術館で開催された特別展"Van Gogh and the
Colours of the night"
で、幸運にも両方の作品を、隣どおしで鑑賞することができた。
後者の夕暮れの空の色と、沈む太陽の光に当たった紫色の地面の配色はすばらしい。
しかし、太陽へのあふれる感謝のメッセージや力強さは、はるかに前者の方が迫るものがある。もちろん私は前者に心打たれてしまい、長い時間この絵の前で立ち止まってしまった。

10月から開催される「ゴッホ展」で、私の絶賛している『種をまく人』を鑑賞することができる。もう一つの絵と比べられないことは残念だが、またこの「力あふれる太陽の筆使い」に再会できることが、とても楽しみだ。

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ファン・ゴッホ美術館のミュージーアムショップで購入した『種まく人』の、Post-itと時計。

☆ファン・ゴッホ 『種まく人』 The Sower 1888年 油彩 (32x40cm) ファン・ゴッホ美術館
☆ファン・ゴッホ 『日本趣味 花咲く梅の木(広重による)』1887年 油彩 ファン・ゴッホ美術館
☆ファン・ゴッホ 『種まく人』 The Sower 1888年 油彩(73.5x93cm) ピューレル財団 
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by van__gogh | 2010-09-25 19:07 | ファン・ゴッホ | Trackback | Comments(0)
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