<   2006年 10月 ( 2 )   > この月の画像一覧

夕暮れの母子 

f0104004_17401216.jpg
少女の張り切って階段を上る姿が愛しい。仕事が終わった母親と一緒に家路へと急ぐ。やっと、母親を独り占めできるのだ。ニューヨークのメトロポリタン美術館で目に留まったオノエ・ドーミエ(1808-79)の描いた『洗濯女』(1863)である。
母の仕事は人の汚れ物を洗い、干すという重労働。絵の背景にあるセーヌ川が仕事場だ。夏は太陽が降り注ぐ暑い中、そして冬は凍るような冷たい川の水で洗濯をするのだろう。心も体も疲労でいっぱいだ。しかし、生きるためにはしかたがない。
絵の背景が輝いているから、まだ太陽の日差しの強い3時過ぎだろうか。洗濯物が乾き、籠にまとめ、そろそろ終わりにしようと思って、愛する娘を見つける。少女は母が振り向いてくれるのを、今か、今かと待っていただろう。
彼女の右手に持つのは洗濯ベラ。乾いた洗濯物を山のように持つ母を手伝う気持ちなのだろうか。少女は幼いながらも、母の苦労をわかっていたに違いない。必死に働く母の後姿を見ながら。だから、今日一日をがんばったのだ。そして、左腕で大きな洗濯籠を抱えながら、うれしさで張り切る娘の足取りに気遣う母。愛する娘を見て、疲れも忘れる。
私も小学生の時、鍵を持っているのに、仕事から帰ってくる母を待って、玄関前で座っていたとことがある。それぐらい、子どもにとって母親とは絶対なのだ。
ドーミエはフランスの有名な風刺画家で、政治や社会の腐敗を鋭い視線で描き続けた。
新聞や雑誌などの風刺画は「線描」が命である。一色の線によって、皮肉やユーモアを交えながら、現実に起きている深刻な問題を読者に伝えなくてはならない。ドーミエの風刺画にもそれが見事に表されている。
私も新聞の政治面の風刺画を観ることが好きだ。難しい政治問題も、簡潔に理解することができる。
当時はまだ文字の読めない人も多く、今以上に風刺画が役立っていたようだ。
高い支持を得ていたはずの彼の作品だが、1860年、読者に飽きられたのか、検閲が厳しくなったのか、失業してしまう。
彼が辛辣な風刺画を描いていたのは生活費を得るためで、本当に描きたかったのは庶民が一生懸命に生きている姿であった。
ドーミエは小学校にも行けないほど貧しく、職を転々とし、その後、石版印刷の職人の徒弟となる。そのことをきっかけに、風刺画家として成功したのだ。
しかし、職を失ったことによって、風刺画家から本来なりたかった油彩画家へと転身する。そして再び生活の苦しくなった自分と同じ、庶民の作品を描いていく。
彼の油彩画の特徴は、「ぼかし」を入れ、人や物を単純化させるところだ。
この「洗濯女」も、どこの誰なのか、どの建物かをはっきりさせない。さらに、手前の人物を暗く、背景の建物や空を明るくさせ、対比によって庶民の厳しい生活を強調させるのだ。
f0104004_17434871.jpg
実はこの作品と同じ構図の絵がオルセー美術館の「洗濯女」(1860-1)だ。こちらの作品の方が先に描かれ、「ぼかし」も一段と強く、ドーミエの代表作とされている。
メトロポリタン美術館の方は摸写で、少し線が強調され、母親の娘に対する目の表情がいい。
しかし、両作品とも甲乙をつけがたい名作である。
ドーミエの優しいまなざし、そして貧しくとも、弱くとも、しっかり生きることの大切さを今の私たちにも教えてくれるのだ。

☆オノエ・ドーミエ 『洗濯女』 1863年 油彩 メトロポリタン美術館
            『洗濯女』 1860-1 油彩 オルセー美術館
[PR]
by van__gogh | 2006-10-05 22:41 | MET | Trackback | Comments(0)

Peltier

f0104004_1002898.jpg
赤坂のベルビーの1階においしいパン屋さん、Peltierペルティエがある。
本店はもちろん、Paris。ここのカフェレストランが前からとても気になっていたけれど、やっと行くことができた。

創始者ルシアン・ペルティエは、1980年代にカリナリー・トロフィー(最優秀シェフ賞)を受賞し、ヨーロッパ全体の菓子職人業界の発展を目的とした「ルレー・デセール」(全ヨーロッパ職人菓子協会)を発足し、初代プレジデントに就任した方。

注文したのは、サラダORスープのチョイス、パン(6種類?から2種類選びます)、メインのディナーセット、¥1500。さらにコーヒーと、とにかくここのケーキを食べなければ、ということで、
ケーキを追加注文しました。


f0104004_9533662.jpg

サラダは、チェリーを甘く煮たものと、グレープフルーツの酸味がなんとも言えずおいしかった。


f0104004_95434100.jpg

メインはパスタの上に鶏肉が・・・。少し冷たかったのが、残念。もし温かかったら、最高においしいと思う。


f0104004_9552314.jpg

一緒に行った方がオーダーしたモンブラン。まわりにマロングラッセなどのトッピングがあり、
本当におしゃれ~。


f0104004_9555913.jpg

本当はモンブランをオーダーしたかったのですが、メニューに「生クリームを・・・」と書いてあるのを見てしまって、生クリームが×の私は断念。こちらのチョコのケーキを。
こんなに濃厚で、味わい深いケーキは初めてだったかも。それ位、満足。

f0104004_9585100.jpg

帰りにパンを購入して、帰宅しました。
またまたParis気分、復活です。カジュアルで、入りやすくて、センスも味もいいし、★★☆。
[PR]
by van__gogh | 2006-10-02 22:58 | Trackback | Comments(0)